いつもありがとうございます!
先日39歳になった中西です。
新しい年度になり、3月末で、ご勇退をなされた方もいらっしゃるかもしれません。
長きにわたりお勤めお疲れ様でした。
さて、これから始まるセカンドライフで大切になってくるものの中で、公的医療保険について今回ご案内します。
1.はじめに
定年退職するときには、その後の生活設計でさまざまな選択を迫られます。75歳までの公的医療保険も、そのひとつです。今回は、定年退職後のケース別公的医療保険の選択肢と、知っておきたいポイントについて解説します。
2. 正社員で継続雇用・他社で再就職するケース
このケースでは、勤務する会社が加入している健康保険の被保険者となります。選択の余地はありません。
したがって、月収をベースにした保険料と、賞与からも所定の料率で保険料が徴収されます。保険給付も原則として
現役の時期と同様で、就業が不能となった場合に要件を満たせば傷病手当金による休業補償もあります。
健康保険組合管掌健康保険の被保険者には、法定給付に上乗せ(付加給付)がある場合があります。
3. フリーランス・非常勤等で働くケース・雇用保険の基本手当をもらうケース
国民健康保険保険料は、定年退職する前年の所得をもとに、住所地の料率を乗じた金額に均等割等が加算されて決定します。
前年の所得が高い場合は、国民健康保険の保険料も高額(2018年度の上限は93万円)になります。任意継続被保険者退職した日までに継続して2ヶ月以上加入していた健康保険は、退職日の翌日から20日以内に手続きをすることによって、任意継続被保険者として最長2年間加入できます。配偶者を被扶養者とすることができます(配偶者分の保険料負担なし。被扶養者の条件は後述)。保険料は現役時代の健康保険と異なり全額自己負担ですが、上限額があり、前述の国民健康保険より低く抑えられる可能性があります。また組合管掌健康保険組合では、付加給付により充実した保障が得られる場合があります。2年間の被保険者期間が満了したら、国民健康保険に移行します。留意点としては、保険料を毎月10日までに納付しないと自動的に資格が喪失すること、この制度に加入した後は2年以内に任意で脱退できないことがあげられます。
(1)と(2)の選択で悩んだら、事前に両者の保険料を調べ、保険料と給付のバランスを考えてみましょう。
4. 特例退職被保険者制度に加入できるケース
厚生労働大臣の認可を受けた特定健康保険組合が運営する退職者のための健康保険制度です。厚生年金に20年(40歳以降の被保険者期間が10年)以上ある人が、厚生年金から老齢給付の受給開始年齢に達せば、加入することができます。したがって、現在定年を迎えている男性は63歳から、女性は60歳または61歳からです。定年退職後すぐに移行できない場合は、一度国民健康保険の被保険者または任意継続被保険者2年経過後数年間国民健康保険の被保険者)となり、厚生年金の受給が始まり次第この制度に移行します。任意継続被保険者と同様、配偶者を被扶養者(後述)とすることができ(配偶者分の保険料負担なし)、退職直後の国民健康保険より保険料は安くなります。ただし一度加入した場合、他の制度に変更するということを理由に任意に脱退することはできません。これも国民健康保険の保険料と比較し、給付とのバランスを考えるとよいでしょう。
5. 家族の被扶養者となるケース
家族に会社等に勤務していて健康保険の被保険者となっている人がいれば、その人の被扶養者となる選択肢があります。ただしこのケースでは、被扶養者としたい人の収入要件があります。
・家族と同居の場合:年収180万円未満(60歳未満の場合は130万円未満)で、家族の年収の2分の1未満。
・家族と別居の場合:年収180万円未満(60歳未満の場合は130万円未満)で、家族の仕送り額未満。
定年退職後に雇用保険の基本手当を受給している期間に家族の被扶養者となる場合は、基本手当の日額が33612円未満であることが要件です。定年退職者のほとんどの事例はこの要件を満たさず、家族の被扶養者となることはできません。受給が終了すれば、家族の被扶養者となることは可能です。
6. 75歳になったら・・・
前述のいずれを選択した場合でも、75歳になったらすべての人は「後期高齢者医療制度」に移行します。その人の被扶養配偶者が75歳未満であれば、その被扶養配偶者は75歳になるまで国民健康保険に加入します。
7. さいごに
今後高齢者に関連する公的医療保険の制度は変化していく可能性があります。最新の動向に留意しましょう。また、高齢者にとって公的医療保険だけではカバーすることが困難な経済的なリスクに備えることも重要です。