オムロンヘルスケア株式会社は先日、「40代から70代の男女6000人に聞いた 人生100年時代におけるシニアの健康に関する意識と実態調査結果概要」を公表しました。
それによると、「老後に不安を抱えている」と答えた人は全体の86.5%(n=6184、複数回答可)、
不安の種類の一位は、お金でした。
- お金 53.4
- 認知症 45.3
- 自分自身の介護 40.1
- 寝たきり 33.3
- 脳血管疾患・心疾患 26.7
- 配偶者の介護 24.2
- 両親の介護 21.5
- 終活 20.3
こうして見ると改めて老後の不安は「お金」と「健康」であることがはっきりとわかります。さらに興味深いのは、不安を感じていると回答した人が具体的にどのような事に取り組んでいるか、です。
- 食生活 37.7
- 定期的な通院・健康診断 36.3
- 日常的な運動 34.9
- 適切な睡眠 32.1
- 趣味を持つ 31.8
- 貯蓄 26.7
- 特に具体的には何もしていない 24.8
- 家族団らんの時間を持つ 17.1
- 財産運用 13.3
- ダイエット 10.6
不安を感じているがそのうち1/4 の人が何もしていないのですね。
お金のことが心配にもかかわらず貯蓄は6番目、財産運用は8番目です。
比較的容易に取り組める食生活や日常的な運動に比べお金の運用はやはり難しい、どこから手を付ければ良いかわからない、失敗したら大変、などと感じてなかなか取り組めないのかもしれません。
お金について、家計の中で不安と感じる項目は、
- 医療費 52.6%
- 食費 22.9%
- 娯楽費 5.6%
- 交際費 3.3%
- 日用品費 1.9%
- 被服費 1.0%
と、老後の不安として「お金」と考えている人の2人に1人が医療費に不安を感じているようです。
では実際に医療にはどのくらいのお金がかかるのでしょうか?
厚生労働省H28年度生涯医療費によると、日本人の男性が一生で使う医療費は約2600万円です。
女性は男性より長生きなので生涯医療費は2800万円になります。
男性は47%、女性は53%の医療費を70歳以降で使っています。高齢になれば医療機関にかかることが多くなるのは当然ですが、改めて見ると高齢期の医療費について不安になるのも当然かもしれません。
当然ですがこの金額を実際に負担するわけではありません。下図は年齢階級別の医療費、保険料・自己負担額を表しています。自己負担及び保険料の数字を見ると10万円~15万円。自己負担分だけなら1万円弱程度の負担になります。
こちらは総務省の家計調査です。老後資金2000万円不足のレポートにも使われたデータですね。
保健医療の70歳~を見ると15,135円とあります。こうしてみると入院や長期の療養を必要とする状態でなければ月に1~2万円程度と金額的には大きな不安を感じる金額ではないのでは、という印象です。
ただし一方ではこの記事のように高齢者の自己負担額を引き上げる議論が継続的にされていることも事実です。
明確に金額に不安というよりも、どうなるかわからない、今後も今と同程度の自己負担・保険料で済むのか、という漠然とした不安なのかもしれません。何にたいしてどう備えるのかをきちんと示してあげて少しでも不安が和らぐようにしてあげられると良いですね。
お金と健康はもっとも貢献できる部分です。私たちの役割は益々大きくなりますね。