こんにちは、奥田です。
今日は最近の事例の中から相続放棄をした場合に受け取れるお金と受け取れないお金について取り上げてみたいと思います。
借金が多いなど被相続人の財産を相続したくない場合などに行うのが相続放棄です。
相続放棄の申述は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
ただ、相続放棄の前についうっかり相続財産にあたるものを受け取り、使ってしまうと相続放棄ができなくなってしまいます。そこで、相続放棄をしても受け取れるお金、受け取れないお金を今一度確認しておきましょう。
相続放棄をしても受け取れるお金(相続財産ではないもの)
・親族等が受取人になっている死亡保険金
死亡保険金は、受取人固有の財産となり、相続財産とはなりません。
※死亡保険金でも受取人が亡くなった方の場合は、相続財産となってしまうため注意が必要です。
・遺族年金や死亡一時金
遺族年金は、亡くなられた方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。遺族が受け取るお金であるため受け取ることができます。死亡一時金も同様に受け取ることができます。
・未支給年金
年金を受給されている方が亡くなった際に、まだ受け取っていない年金は、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。未支給年金は法律で受け取る方が決まっているため、相続財産とはなりません。ちなみに、未支給年金を受給できるのは年金を受けていた方が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた、(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)1~6以外の3親等内の親族です。
・葬祭費・埋葬料
健康保険等から支給される葬祭費・埋葬料は喪主が受け取るお金のため相続財産とはなりません。
・位牌・仏壇・お墓
これらは「祭祀財産」といって、先祖を祀り供養するために使用されるものは祭祀を承継する方の財産となります。相続財産とはなりません。
相続放棄をするならば受け取ってはいけないお金(相続財産になるもの)
・入院保険・傷病保険の給付金
亡くなった方が本来受け取るべきであった入院給付金や手術給付金は相続財産となるため相続放棄する場合には受け取れません。
・払いすぎていた税金・保険料等の還付金
所得税や住民税の還付金、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料等の過誤納還付金は相続財産となるため、受け取れません。
・未払い給与
お勤め中に亡くなられた場合、受け取っていない給与があるかもしれません。その場合、給与は本来亡くなった方本人が受け取るものであるため相続財産になります。
ケースによって異なるお金
・高額医療費の還付金
世帯主に支払われるお金のため、亡くなったのが世帯主だった場合は、相続放棄をすると受け取ることができません。
逆に亡くなった方が、世帯主でない場合には相続放棄をしても、別途世帯主から還付手続きをすることができます。
・死亡退職金
社内の規定によります。本人が亡くなった場合には遺族が受け取る旨の規定があれば、受け取ることができます。規定に定めがない場合は、相続財産とみなされることもあるので注意が必要です。
まとめ
相続放棄しても受け取れるお金
・死亡保険金
・遺族年金・死亡一時金
・未支給年金
・葬祭費・埋葬料
・位牌・仏壇・お墓
相続放棄するならば受け取ってはいけないお金
・入院保険金・傷病保険の給付金
・払いすぎていた税金・保険料等の還付金
・未払い給与
ケースによって異なるお金
・高額医療費の還付金
・死亡退職金
相続放棄したからといってすべてのお金が受け取れなくなるわけではありません。相続放棄をお考えの方は手続きの期限を過ぎてしまわないよう注意しながら、誤った手続きをしてしまい相続放棄が認められなかったということがないよう十分注意しながら手続きをすすめていきましょう!