FPが考える「神君伊賀越え」(後編)

みなさんこんにちは。

大河ドラマ見てますか?歴史FPの牧原です。

前回に引き続き、「神君伊賀越え」の話をいたしましょう。

前回は伊賀越えの物理的な側面を紹介したので、今回は人生最大のリスクを乗り越えた、

家康の内面にスポットライトを当てたいと思います。

 

鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス

この文言、どこかでお聞きになったことがあるのではないでしょうか?

これは、家康の気質を表現したフレーズで、信長と秀吉はそれぞれ、

鳴かぬなら殺してしまえホトトギス…(信長)

鳴かぬなら鳴かせて見せようホトトギス…(秀吉)となっており、

それぞれの人となりをよく表しているとされ有名となっています。

 

このフレーズから、家康は忍耐強く寛容な性格だと思われがちですが、意外や意外。

若かりし頃の家康は短気なのです。

伊賀越えのエピソードを思い出してください。

自分がピンチとなったとき、彼は何をしようとしたか?

そう、自暴自棄からの自決です。

※この時は本多忠勝が止めてなんとかなりました。

 

ほかにもイライラすると爪を噛むという癖があったり、

軍配に歯形が残るほど嚙みついてたりしてます。

岡山弁でいうところの「いらち」ですね。

 

青年期には短期だった彼が、どうして忍耐強い性格だと言われるようになったのか?

それは三度の危機を乗り越えて、

チャンスを「待つ」ことができたからだと考えられます。

 

長生きする

徳川家康の生涯は、1542年に生まれ、1616年に死ぬまで実に73年に及ぶ生涯を駆け抜けました。

当時、人間の寿命が50歳だと言われていましたから、これは相当に長いといえるでしょう。

今でいうと90歳を超えてるくらいの感覚でしょうか?

これは、織田信長の49歳、羽柴秀吉の61歳よりも長いです。

ちなみに彼の有能な家臣団である徳川四天王はというと、

酒井忠次:1527~1596(69歳:死因不明)

井伊直政:1561~1602(41歳:戦の怪我がもとで死亡)

榊原康政:1548~1606(58歳:病死)

本多忠勝:1548~1610(62歳:死因不明)

このように見ると、家康は彼を支えた重臣たちよりも長生きしているんですね。

 

次代が成長していく中で、数多の戦を乗り越えて鍛えられた家康の実践経験は、

それそのものが非常に高い価値を持っていたにちがいありません。

ライバルたちが戦や寿命で消えていく中、

健康に気を使って長生きすることで手に入れた天下ともいえます。

 

豊臣政権の瓦解を待つ

そして長生きをした結果、豊臣政権の瓦解を待つことができました。

日の出の勢いであった秀吉の失政、朝鮮出兵。ここに家康はほとんど関与することなく、

東国で力を温存。また、子供ができにくかった体質の秀吉の死後、彼の後継者争いが

始まるであろうことを予見し、さらに彼の盟友である前田利家よりも長生きすることで、

戦わずして天才・秀吉の強みを奪うことに成功しました。

他にも石田三成ら文治派と加藤清正ら武断派の対立をあおり、豊臣政権を内部から弱体化させたりと、

若き日の短気さはどこへやら非常に老獪な方法で豊臣政権の切り崩しを図ります。

 

機を待つことで、戦国乱世を生きた大御所として存分に豊臣政権を揺さぶることができたのだと思います。

 

家康から学ぶリスク管理

では我々が家康から学べることはなんでしょうか?

本職はFPなので資産運用に関連して考えてみると、

長期にわたって運用する、機会を待つ

ということになるでしょう。

まず、家康は長生きしました。長生きすることで危機(秀吉)が過ぎるのを待つことができたのです。

これは資産運用でいうところの長期投資になります。

10年に1度くらいの間隔で金融危機が起きていますが、長期で運用することで

こういった危機を乗り越えることができます。短期目線ではなく長期(20年以上)で考えることが肝要です。

現に、リーマンショックは2年半ほど、コロナショックは半年ほどでショック前の株価に戻りました。

そしてこれを可能にするのが、機会を待つということ。

自分の能力の範囲を超えて運用すると、長期で運用することが難しくなります。

ピンチをやり過ごすには自信に無理のない範囲で資産運用をせねばなりません。

自身の能力を超えた投資は、ピンチの時にマーケットからの退場を余儀なくされる可能性があります。

 

もちろん、お金を殖やすことも大切ですが健康も大切です!

家康を見習って健康に留意し、長期にわたって資産運用をしていきたいものですね。

 

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家康の如く、忍耐強い運用をしていきたい方にお勧めです。

 

 

 

 

2023-09-11