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アメリカの金利動向とその影響
*はじめに*
9月17日~18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会:Federal Open Market Committeeの略)で
政策金利が引き下げられました!
アメリカの金利動向は国内外の経済に大きな影響を与える重要な要素ですので、金融政策を決める連邦準備理事会(FRB)の会合は毎回大きな注目を集めています。
今回は直近の金利動向を振り返り、今後の見通しについて考察します。
*FRBの政策金利の動向*
今回、FRBは消費者物価上昇率が3%程度まで低下し、目標とする2%への道筋が見えている、すなわちインフレ再燃のリスクが十分抑制できているとして、政策金利であるFF金利の誘導目標を4.75~5.00%とすることを決定しました。
利下げ幅は通常0.25%でされることが多いですが、今回は一気に倍の0.5%引き下げです。
この利下げ幅については市場参加者の予測が割れていたところであり、結果的には大幅利下げとなりました。
2022年以降、一時9%を超えたインフレ率を抑え込むために、長期にわたり高金利状態が維持されてきたわけですが、
そもそもFRBの任務は『物価の安定』と『雇用の最大化』の二つに大別されます。
ここにきて物価の安定に一応の見通しが立ったことで、今後は『雇用の最大化』が主要なテーマとなったのです。
この点、8月の日経平均株価の暴落の一因ともなった“アメリカの景気後退懸念”が関わってきます。
アメリカの各経済指標の減速、特に失業率の上昇をはじめとした“雇用統計の悪化”が見られたことで、
このまま高金利を維持してしまうと経済がクラッシュしてしまう可能性が出てきたのです。
インフレ→高金利下にありながら、長らく力強さを見せていたアメリカ経済。
不況を回避しつつ金融引き締めを緩める【ソフトランディング(軟着陸)】を株式市場は期待し、上昇してきました。
FRBとしては(経済のクラッシュではなく)軟着陸を実現させるために、雇用の急激な悪化を食い止める難しい舵取りが求められています。
結果、金融政策が後手に回らないように、今回の大幅利下げが遂行されたといえるでしょう。
※1
FF金利とは、「フェデラル・ファンド金利」のことで、アメリカの金融市場において銀行間で短期資金を貸し借りする際の金利のことを指します。具体的には、アメリカの銀行がFRBに預けている準備金を他の銀行に貸し出す際の金利です。経済全体の金利水準に影響を与え、FRBはこの金利を調整することで、インフレ抑制や経済成長の促進を図ります。
※2
金利の上昇は、家計や企業の借入コストを増加させ、経済活動にブレーキをかける可能性があります。
*今後の見通し*
今回の会合では“ドット・プロット”というFOMC参加者が予測する将来の金利見通しも示されています。
それによると、以下のとおり中央値が引き下げられており、参加者が失業率が急上昇するシナリオも想定するなど、労働市場への懸念があることも確かです。
● 2024年末 4.375%(前回は5.125%)
⇒このことは年内残り2回のFOMCでそれぞれ0.25%の利下げが行われる可能性が高いことを示唆します。
● 2025年末 3.375%(前回は4.125%)
ただし、FRBのパウエル議長は「0.5%を利下げのペースとみなすべきではない」として、急激な景気後退の可能性が高まっているわけではない旨の指摘をしています。
結局のところ、今後の金利の見通しはアメリカの経済指標(特に【雇用統計】)次第となるわけです。
**結論**
アメリカの金利動向は、国内外の経済に多大な影響を及ぼします。
特に日米の金利差との兼合いで、為替相場へ非常に大きな影響があります。
政策金利の変動や長期金利の動向を注視し、経済の先行きを見極めることが重要です。
今後もFRBの動向に注目し、適切な投資戦略が求められるでしょう。
また次回お会いしましょう。末藤でした。