米ドルは強いか!
こんにちは濱尾です、暑い日が続きますね。皆様お元気でしょうか?
きょうは米ドルについて書いてみたいと思います。
米ドル通貨の現在地:揺るぎない基軸通貨の魅力とリスク、そして今後の展望
CFPとして皆様の資産形成をサポートする中で、常に国際情勢とそれに伴う為替の動向には注目しています。その中でも、世界の金融市場の「王様」とも言える米ドルは、その動向が様々な資産に影響を与えるため、その魅力とリスクを理解することは不可欠です。
今回は、現在の米ドルの世界シェアから有事の米ドル買い、そしてユーロ、円、元といった主要通貨との比較、さらに今後の経済情勢を踏まえた米ドル通貨の魅力とリスクについて深掘りしていきたいと思います。
1. 米ドル通貨の世界シェア:揺るぎない地位の裏付け
世界の基軸通貨として君臨する米ドルのシェアは、様々な指標で確認することができます。
外貨準備高に占める米ドルの割合:
国際通貨基金(IMF)のデータ(COFER:Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves)によると、2024年第4四半期時点(直近のデータに更新)で、世界の準備資産に占める米ドルの割合は、およそ58%〜60%前後 で推移しています。これは、ユーロ、円、ポンド、人民元など他の主要通貨を大きく引き離す圧倒的なシェアです。
国際貿易決済に占める米ドルの割合:
国際銀行間通信協会(SWIFT)のデータなどによると、国際貿易決済においても米ドルの使用割合は依然として非常に高く、およそ40%〜50%前後 とされています。原油などの国際商品取引の多くは米ドル建てで行われています。
国際金融取引に占める米ドルの割合:
外国為替市場における取引量も圧倒的です。国際決済銀行(BIS)の「世界の外国為替・デリバティブ市場に関するサーベイ」(Triennial Central Bank Survey of Foreign Exchange and Over-the-counter (OTC) Derivatives Markets Activity)によると、2022年のデータ では、取引の一方の通貨が米ドルであるペアの割合は、全体の取引量の**約88%**に達しています。
これらの数値が示すように、米ドルは依然として世界の金融システムの中心であり、その地位は揺るぎないものとなっています。
2. 「有事の米ドル買い」:安全資産としての信頼性
経済や地政学的な不確実性が高まる「有事」の際には、投資家が米ドルを買い求める傾向が顕著に見られます。これは、米ドルが「安全資産」と認識されているためです。その背景には、以下の要因が挙げられます。
世界最大の経済大国: 米国は世界最大のGDPを誇り、その経済規模と多様性は、他のどの国よりも安定しているという信頼感を与えます。
強固な法治国家: 政治的、経済的な安定性が高く、財産権が保護されているという安心感があります。
流動性の高さ: 世界中の金融市場で24時間取引されており、どのような状況下でも売買しやすい流動性の高さも魅力です。
ドル建て資産の豊富さ: 米国債など、安全性の高いドル建て資産が豊富に存在し、非常時にはこれらの資産への資金流入が活発になります。
3. 主要通貨のシェアと比較:ユーロ、円、元
米ドル以外の主要通貨も、それぞれの役割を果たしています。
ユーロ(EUR):
外貨準備高におけるシェアは、米ドルに次ぐ約20%前後 です。欧州連合(EU)という巨大な経済圏を背景に、国際貿易や金融取引でも重要な役割を担っています。
日本円(JPY):
外貨準備高におけるシェアは、およそ5%前後 です。低金利通貨として、キャリートレードの対象となることも多いですが、アジア地域における影響力は依然として大きいです。
中国人民元(CNY):
外貨準備高におけるシェアは、およそ3%前後 と、まだ米ドルやユーロには及びません。中国経済の成長と共に、国際的な存在感を高めていますが、資本規制などにより自由な兌換性に課題を残しています。しかし、中国が国際的な金融・貿易での存在感を高めるにつれて、人民元の重要性は徐々に増していくと考えられます。
4. 今後の経済情勢を踏まえた米ドル通貨の魅力とリスク
今後の経済情勢を考慮すると、米ドル通貨には引き続き魅力とリスクが存在します。
魅力:
継続的な世界経済の成長: 米国経済が堅調に推移する限り、米ドルへの需要は継続するでしょう。特に、AIや半導体といった先端技術分野における米国の優位性は、今後の経済成長を牽引する可能性があります。
金融引き締め局面での金利魅力: 米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が利上げ局面にある場合、相対的に高い金利はドル建て資産への投資を魅力的なものにします。
地政学リスクの高まり: 世界各地で地政学的な緊張が高まる中、「有事の米ドル買い」の傾向は継続すると考えられます。
デジタルドルの可能性: 将来的にデジタルドル(CBDC)が発行された場合、その国際的な普及が米ドルの基軸通貨としての地位をさらに盤石にする可能性も秘めています。
リスク:
米国の財政赤字と債務問題: 巨額の財政赤字と累積債務は、長期的に米ドルの信認を揺るがす可能性があります。
他国通貨の台頭: 中国人民元の国際化の進展や、BRICS諸国による脱ドル化の動きなど、将来的には米ドルの独占的な地位が揺らぐ可能性も否定できません。
インフレと金融政策の不確実性: 高インフレが持続し、FRBが予期せぬ金融引き締めを行う場合、景気後退リスクが高まり、ドル安につながる可能性があります。
政治的分断と政策の不安定性: 米国内の政治的分断が深まることで、政策決定の遅延や不安定化が起こり、市場の信頼を損ねる可能性があります。
地政学リスクの裏目: 「有事の米ドル買い」は一方的な資金流入を招く一方で、有事が長期化・深刻化する場合には、米国自身の経済への影響が懸念され、リスクとして認識される可能性もあります。
まとめ:賢明な資産配分のために
米ドルは依然として世界の基軸通貨としての地位を確立しており、その魅力は計り知れません。しかし、一方で長期的な視点で見ると、米国の財政状況や他国通貨の台頭、地政学リスクなど、無視できないリスクも存在します。
CFPとしては、これらの魅力を享受しつつも、リスクを理解した上で、ポートフォリオにおける米ドル資産の配分を慎重に検討することが重要であると考えます。いずれにしても資産分散投資を心がけることが、不確実性の高い時代において賢明な資産形成への道となるでしょう。
皆様のご参加になれば幸いです。
By:濱尾
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2025-07-01