みなさんこんにちは
歴史担当の牧原です。
今回は、久しぶりにFP業務についての記事を書こうと思います。
ブログを読んでくださっている方の中には「歴史のネタばっかりだね」と
思われている方もいるかもしれませんもんね。
最近、お客様から頂いたご相談の中に
「ファンド・ラップ」という話題が出てきました。
私も個人投資家として割と長いこと生き残っていますが、
個別株と投資信託、最近はもっぱらETFで運用を行ってきたので、
実はこの手のファンドを利用したことがありません。
今回は、そのファンドラップについて調べてみました。
実は過去に金融庁は、ファンドラップについて注意喚起を行っており、
『安定的な資産運用を望む顧客が安全資産の組入れ比率を高めるのは当然であるが、
安全資産についてはファンドラップ以外の選択肢も複数あり、
あえて高コストのファンドラップを利用する必然性はないとも考えられる。
「逆ザヤ」により負のリターンとなれば、顧客の資産はむしろ毀損する。
一方、販売会社からすると、ファンドラップが残高ベースのフィー体系となっているため、
安全資産を含め多くの顧客資産をファンドラップに含めたいという利益相反の誘因が働きやすい。
高コストで安全資産の組入れ比率の高いファンドラップについては、
真に顧客利益に資するものか、商品性についての再考が求められる。』
と特に債券多めのファンドラップについて注意喚起しています。
金融庁の資料はコチラから
なんだか、危険な香りがしてきました。
簡単に言うと、おおまかな投信方針を定めて、あとは証券会社にお任せするといった金融商品です。
例えば、保守的、やや保守的、普通、やや積極的、積極的のようなざっくりとした区分になっており、
保守的になるほど債券の割合が大きく、積極的に近づくほど株式の割合が多い設計がなされています。
区分選択後は、各証券会社に銘柄入れ替えなど運用をお任せするという仕組みです。
個人個人に応じた株式と債券の割合を細かく設定するというようなものではありません。
先ほど金融庁が指摘していたのは、「保守的」タイプですね。
そして、気になる信託報酬(年間手数料)ですが、高めです。
私が調べた公式サイトでは1.188~1.518%でした。
保守的運用では、日本国債の比率が高い(約50%)ので、金融庁の指摘どおり選ぶ場合は、
現状で日本国債の利回りがとても低いために基準価格を割らないか注意が必要ですね。
それでは、
アクティブ型投資信託である「キャピタル世界株式ファンド」と
パッシブ型投資信託である「eMAXIS 全世界株式インデックス」
とあるラップファンドの10年間のパフォーマンス比較をして見てみましょう。
ラップファンド :手数料1.518% パフォーマンス+170%
アクティブ投信 :手数料1.694% パフォーマンス+260%
パッシブ投信 :手数料0.66% パフォーマンス+255%
ラップファンドと比較して残りの2社は株式100%であることを差し引いても、
かなりの差が生じる結果となりました。10年でこれですから、さらに長い期間投資をすれば、
より差は開いていくことは明白です。
高い手数料に見合うだけのメリットがラップファンドにあるのかといわれると、
唯一のメリットとしては、担当者のアドバイスやフォローアップの有無です。
もし具体的なアドバイスやフォローがないなら、メリットはないといっていいと思います。
区分もざっくりと5~7個ですし、この程度のポートフォリオであれば投資関連の本を1冊くらい読めば組めます。
とはいえ、投資を継続するということ自体が簡単なようでいて非常に困難である(証券会社の平均保有期間は2.9年)ことから、
投資を継続できるように伴走してくれるようなサービスがあるのであれば買う価値があるかもしれません。
しかし特に問題だと思うのが、資産運用を証券会社にお任せしてしまうというスタンスです。
とある証券会社のHPにはこうあります。
「運用にかかる投資判断や売買、管理などを、〇〇銀行がお客さまに代わって一括して行う商品です。」
古来から「わかんないから良いようにやっといて」という依頼を受けて良い結果になったためしはありません。
我々も同様で何かを(特にお金を)誰かに任せっぱなしにするというのは、極めて危険です。
依頼主も自ら学んだり把握していてこそ、投資においても良い結果が生まれるのだと思います。
結論から言うと、アドバイスやフォローアップがない限りラップファンドはおススメしません。
特に保守型などの日本国債券の比率が高いものは、損失が出る可能性が相対的に高いです。
お任せしちゃいたい!という気持ちはとても良くわかるのですが、自分の大切なお金のことですから、
自分自身でも知識をつけて守っていきたいですね。