秋以降も値上げが相次ぎ、特に年金生活の方にとってはやりくりが厳しい状況が続いています。
世界情勢を受け、避けられない値上げとはいえ、収入が増えない状況では高齢者の不安は増すばかり。
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によれば、高齢者世帯の所得は平均で312万6000円です。
日本の高齢者の所得は、実は欧米主要国を大きく下回ることをご存知でしょうか。
各国の高齢者所得の内訳や、日本の高齢者の就業率の高さもグラフで見ていきます。
少し前の資料にはなりますが、金融庁「人生100年時代における資産形成」(2019年4月12日公表)より、日本と欧米主要国の高齢者の所得を確認しましょう。
※高齢者世帯:日本は65歳以上のみで構成するか、これに18歳未満のものが加わった世帯。アメリカ・イギリスは世帯主が65~74歳、ドイツは世帯主が65~69歳の世帯。
※1ドル=110円、1ポンド=1545円、1ユーロ=124円換算。
アメリカやイギリス、ドイツと比べると日本は全世帯でも高齢者世帯でも所得が低い結果となりました。
特に高齢者世帯では、日本は300万円台前半と所得の少なさが目立ちます。
国により物価や平均給与など異なりますが、日本は全世帯・高齢者世帯ともに所得が少ないと言えるでしょう。
同資料より、各国の高齢者(65歳以上)の所得の内訳も見ます。
公的所得、つまり年金は日本とアメリカが約5割、ドイツ・イギリス・フランスでは7割を超え、この差は大きいと言えるでしょう。
日本とアメリカは公的所得が少ない分、「労働所得」が多く働くシニアは他の国に比べて多いと考えられます。
「資本所得」をみると日本が最も少なく10.0%となっていますが、アメリカでは13.9%です。
フランスは資本所得が17.2%ともっとも高く、それゆえ労働所得は5.5%のみと他に比べて大きく下がります。
今後、日本の「公的所得」は少子高齢化の影響もあり、今より減る可能性が高いと考えられます。
老後の所得の不足部分を補うには「労働所得」か「資本所得」がメインとなりますが、労働所得は大切ながらも、歳を重ねると増やすには厳しいところがあるでしょう。セカンドライフを楽しむためには減らしたいと考える方もいると思います。
欧米主要国のように「資本所得」を増やす必要性は今後も増すでしょう
同資料によれば、65~69歳の就業率は以下の通り。
日本は男性で52.9%、女性で33.4%ですが、アメリカは男性35.5%、女性27.0%、フランスは男性8.0%、女性4.9%です。
日本の高齢者は、男女ともに欧米主要国よりも働いています。60歳代で働くシニアは多く、夢のセカンドライフがはじまる年齢は年々上がっているでしょう。
欧米主要国と日本の所得や就業率をみてきましたが、しばらく値上げが続くこと、また将来的に公的所得が減ることは今から予測できることです。
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