朝晩の冷え込みが本格的になり、暖房器具がフル稼働し始める11月。
物価高騰も続くなか、年金暮らしのご家庭にとって光熱費の増加は、見過ごせない負担になっています。
老後の不安といえば、いつの時代も「お金」がトップ争いをしますが、では実際のところ、現代のシニア世代はどれほど生活に不安を抱えているのでしょうか。厚生労働省の調査では、高齢者の半数以上が「生活が苦しい」と感じているという、なかなか厳しい現実が浮かび上がっています。
今回は、こうしたデータを踏まえながら、70歳代の平均的な支出・収入・貯蓄の実態を整理し、老後資金にどんな備えが必要なのかを深掘りしていきます。
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の生活意識は次の通りです。
「苦しい」が55.8%。
“普通より苦しいほうが多数派”というのが現状です。

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
総務省「家計調査 2024年」から、70歳代の支出と収入を見ていきます。

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
支出が収入を上回り、毎月約2〜3万円の赤字。
生活費は70歳代前半で約30万円、後半でも約27万円と、決して低くありません。
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、
平均は高くても、中央値が大きく下がる“お馴染みの二極化”が見えます。
毎月2万円の赤字が20年続けば、約480万円が消える計算。
そこに旅行・趣味・車の買い替え・家電の故障・病気・介護…と、人生イベントが追加されれば、さらに必要額は増えていきます。
厚生労働省「令和5年度 年金事業の概況」からみてみると
14万6429円
5万7584円
たとえば
厚生年金の夫+国民年金の妻 → 合計 約22万円
先ほどの生活費と比べると、不足が発生するのは明らかです。
年金額を確認するには ねんきんネット が便利です。
まずは自分の“受け取る年金の現実”を知るところからがスタートです。
高齢者世帯の半数以上が生活の厳しさを感じている今、老後のお金は待ったなしの課題です。
平均貯蓄額は立派に見えても、中央値を見る限り、多くの方が余裕のある状況とは言い難いのが現実。
公的年金だけで生き切るのは、もはや“昔話の世界”。
長寿社会の今こそ、早めの準備と、小さくても継続的な工夫が欠かせません。
まずは自分の年金見込み額を把握し、
不足分をどう埋めるか——
投資、働き方、支出の見直しなど、選択肢はいくつもあります。
老後の安心は、今日の一歩から。
未来の自分への“プレゼント”だと思って、ぜひ前向きに準備を進めてください。
