いつもありがとうございます。
早速ですが、来月からの国民年金・厚生年金について政府から発表がありました。
言わずもがな公的年金は老後の生活を支える大きな柱です。
どんな発表だったかというと2023年度は、物価や賃金の上昇に応じ増額すると発表されました。
ところが実際は、年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」が発動となり、消費物価の伸びに比べれば目減りとなりました。
今回は、マクロ経済スライドはどんな制度で、今後、年金だけに頼らず生活を維持するにはどうすればいいかを紹介します。
厚生労働省は2023年1月20日、2023年度(令和5年度)に受け取る年金が、物価の上昇を踏まえ増額すると発表しました。
4月より改定され、反映されるのは4月・5月分の年金をまとめてもらう6月分からとなります。どのくらい増えるのかは次のとおりです。
出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
夫は40年会社で就業、その間の平均的な収入が43万9000円、妻は専業主婦という夫婦がモデルケースになっています。
年金額の改定は、新規裁定者(67歳以下の方)の場合は「賃金変動率」がもとになり、既裁定者(68歳以上の方)場合は「物価変動率」をもとに改定するよう法律で決まっています。
総務省の2023年1月20日の発表によると、「消費者物価指数 全国2022年(令和4年)平均」は、前年(2021年)比2.5%増、賃金変動率は同2.8%増です。
そのまま連動すれば、本来であれば、新規裁定者の増加率は2.8%増、既裁定者の増加率は2.5%増で改定となるはずです。
しかし、年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」が発動したため、実際の上昇率はそれよりも0.3~0.6%少ない1.9~2.2%増にとどまっています。
「マクロ経済スライド」は一般的に聞きなれない言葉ですが、どのような制度なのでしょうか。次はその説明を行います。
マクロ経済スライドとは、物価や賃金などが上昇しても、公的年金はそれに連動せず、むしろその上昇を抑えるよう調整する制度で、2004年(平成16年)の年金制度改正により導入されました。
出所:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
というのも、日本の年金制度は、高齢者が受け取っている年金を現役世代が負担するという「世代間扶養」で成り立っています。
そのため、もし物価上昇にあわせて公的年金がどんどん増額すると、現役世代が負担する年金保険料が上がり、その分、家計を圧迫してしまうことになります。
そうなると、年金制度の長期的な給付と負担の均衡が保たれなくなってしまうかもしれません。
そこで「マクロ経済スライド」での調整を計画的に行うことで、年金の伸びを抑え、将来にわたり、公的年金制度を維持しようというのが狙いです。
しかし、公的年金制度を維持するためとはいえ、物価の上昇に伴い、年金などの収入が増えなくては、実際の生活は苦しいままです。
この先もこのまま物価上昇が続くとしたら、年金以外の収入があれば安心といえます。
そのためには、なるべく早い段階から対策を考えておくことが必要です。
最近では、定年後の再雇用・再就職をする方が増えており、60歳で定年退職した後、65~70歳まで働く方も少なくありません。
企業においても長く働ける環境が整ってきており、老後も年金をもらいながら働き、収入を得られるようになっています。
ただし、定年後の給料は、現役よりも5~6割に下がる傾向もあり、不満を感じる場合もあるようです。
そうならないためにも、自分にとってやりたい仕事で、より多くの収入が得られるよう準備しましょう。
たとえば、今までの経験を洗い出し、付加価値をつけるために、必要な資格を取ったり、勉強を重ねたりしておくとよいでしょう。
物価上昇に連動するお金の増やし方としては、投資が効果的です。
たとえば、金融庁の「資産運用シミュレーション」で試算してみると、毎月3万円を25年間、仮に2%複利で運用すれば1166万円。4%で運用できれば1542万円になります。
もちろん投資にはリスクがあり、状況によっては、お金が減ってしまう場合もあります。
しかし、長期間にわたり分散しながら少しずつ積み立てていけば、短期的には損失を被ることがあったとしても、長期的にはその損失をカバーできる可能性があります。
投資に取り組むには、iDeCoや、つみたてNISAなど税制優遇の得られる制度を活用してみるのもいいでしょう。
年金についての新しい情報が公表されました。
こうしたタイミングを機に、自分自身の見込み受給額を、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておくとよいかもしれませんね