お世話になります。中西です。
年の瀬の声が聞こえてきましたね
さて、今回は新型コロナの話題で、影が薄くなっている気がしますが、老後2000万問題について、
少し掘り下げてみようと思います。
老後に必要なのは○○万円で十分」、「貯金〇〇万円でも老後破綻」など、老後の生活費に関する記事をよく見かけます。
老後は、まだ先と考える人もいるでしょうし、目前に迫る人もいるでしょう。老後までの時間や貯金の状況は様々ですから、一様に答えを出すのは簡単ではありません。
しかし、老後の費用を考える上で外せないポイントはあります。そこで、本日は、老後までにいくら備えれば安心なのか、ポイントを示しながら考えていきたいと思います。
2000万円問題の根拠
「2,000万円」という数字がにわかにクローズアップされたのは、「老後2,000万円問題」が話題に上ってからです。
この「2,000万円」という数字ですが、適当に示されている訳ではありません。老後の生活費の不足分と、いわゆる平均余命を掛け合わせたものが根拠となっています。
実際に各種の数字から計算してみましょう。下記は生命保険文化センターの資料です。世帯主が60歳以上で無職世帯(2人以上の世帯)の1ヶ月間の収入と支出を示しています。
可処分所得・・・192,479円
消費支出・・・239,934円
不足分・・・47,455円
ひと月で約5万円の不足が生じます。不足額は年間で569,460円に上ります。
60歳の平均余命は男性が約24年、女性が約29年ですから、60歳から24年、存命だとすれば13,667,040円、30年ですと17,083,800円、おおよそ2,000万円弱が不足することになります。
この不足額が2,000万円の根拠となっているのです。
住宅費用はどうか
それでは、いくら貯金すればよいのかについて、大事なポイントを見ていきましょう。
まずは住居費用です。上記の消費支出239,934円には住居費用の1.4万円が含まれています。
住居費用は老後の支出に大きな影響を与えると予想されますが、この1.4万円は低すぎますね。
おそらく、高齢者世帯の持ち家世帯比率が高いこと、また持ち家の場合、月々の住居費用は発生しないので、平均額が低く算出されていると考えられます。
いずれにしても、現在賃貸の方で家賃が1.4万円の方はほとんどいないでしょうから、老後も賃貸で生活される方は、老後の住居費用を用意する必要があります。
現在60歳の方で、このまま賃貸で生活する場合を考えてみましょう。ここでは60歳男性の平均余命で計算します。
家賃が6万円の場合・・・6万円×12ヶ月×24年=1,728万円
家賃が8万円の場合・・・8万円×12ヶ月×24年=2,304万円
どうでしょうか。この金額が住居費用として必要になりますから、持ち家を持たない賃貸派の人は、上記の額を目標として、貯金をする必要があります。
この数字を見ると、買った方が賢い選択のようにも考えられますね。
もし購入するのならば、高齢でローンを組むと様々な制約が生じますから、購入するかについては、早めに検討しておきましょう。
ローンを組まず、一括で購入する場合は、購入するまでに、まとまった貯金額が必要になるからです。
介護費用はどうか
次に、介護費用を見ていきましょう。高齢化が進む日本では、介護問題は、誰しもが直面する可能性が高い、大事な問題です。
自宅で介護サービスを受けるにしても、施設に入居するにしても、まとまった額の貯金が必要となります。
しかしながら、介護の経験が無い人にとっては、介護に対する実感がわきにくいため、介護費用の準備を考えていない場合が多々あります。
介護保険でカバーできる部分があるとはいえ、サービスによっては、多額の費用が必要となる場合もあります。可能であれば、介護費用も貯金しておくのが望ましいと言えます。
それでは、介護費用として、貯金はいくら必要なのでしょうか。有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅の費用を見てみましょう。
有料老人ホームの場合
入居時費用の相場・・・528万円
月額費用の相場・・・(入居時費用あり)22.4万円
サービス付き高齢者向け住宅の場合
入居時費用の相場・・・20万円
月額費用の相場・・・(入居時費用あり)16.3万円
入居時の費用はかかる場合とかからない場合がありますが、月額の料金はいずれの場合も必要です。
月額の費用を年金の受給額でカバーできる場合はよいのですが、足らない場合は貯金を切り崩して、充てなければいけません。
介護の問題は、シングルの人にとっても重要な問題ですし、家族がいる方でも老人ホームの入居を考えている人は少なくありません。このような人は老後の費用として、予め貯金をしておく必要があります。
自分のライフスタイルはどうか
老後の生活費はライフスタイルにも関係しますから、ライフスタイルについても考えておくことが3つめのポイントです。
老後は会社に行く必要がありませんし、家族のために時間を割くことも減ってきます。
そうなると、思いのほか、時間がたくさんあることに気づく人も多く、今までやれなかったことを大いに楽しんだり、趣味に没頭したりして、必然的にお金が必要となる場面も多くなりがちです。
お金のかからない趣味は問題ありませんが、急に始めた習い事に思いのほか、多額の費用がかかって、大切な貯金を崩してしまった・・・など、始めた後に後悔するようなことは避けたいものです。
海外旅行なども同様です。現役時代に行けなかった長期の旅行などは、時間があるからこそできる楽しみですが、費用も当然多くなります。
長年楽しんできた趣味にかかる費用や旅行費用は、見積もりやすい項目ですから、計算して貯金しておきましょう。
趣味や旅行は老後にやりたいことに必ず上る項目ですし、老後の楽しみが無くなるのも寂しいものです。老後の楽しみのために、敢えて積極的に考えたいポイントでもあります。
住居や介護費用を考えることは、老後の生活費を貯金する上で大事なポイントです。
現時点でこれらの準備が無い人は、老後の生活に大きな負担が生じる可能性がありますから、早めに貯金をスタートさせることをおすすめします。
全てを用意することは難しくても、一部を用意することで、老後の負担を軽くすることは可能です。お金の増やし方については、ご相談お待ちしております。