みなさん、こんにちは!
さて、わたくし古今東西の歴史に関心があります。
そのため今回は「お金の歴史」をテーマといたしまして、
普段はあまり気にすることなく使っている「お金」の歴史について、前回に引き続きご紹介したいと思います。
【お金とはなにか?】※前回の復習です。
我々が毎日のように使っているお金ですが、そもそもお金には次の意義があると
言われています。
1 ものと交換(支払)できる
2 ものの価値を測ることができる
3 ものの価値を保つことができる
これらの条件のいずれかを満たす場合、「お金」と言えるということです。
いわれてみれば「なるほど~!」となりますね。
現在の日本で使われる紙幣や硬貨(日本銀行券)も1~3の条件のいずれにも当てはまっていることが
わかると思います。前回は「実物貨幣」という、金などの貨幣そのものが価値を有する事例を見てきました。
今回は、実物としては価値のない貨幣を見ていきたいと思います。
【名目貨幣】
突然ですが、1万円札の価値はいくらでしょうか?
ええ~!?そんなの1万円にきまってるじゃん。
と思いますよね。ところが、1万円の物質的な価値(原材料費など)は
約20円
なんです。驚くほど安いですね。しかも紙ですから、鼻をかむくらいしか使い道はありません。かつて、教科書で札束を燃やして明かりを取っている成金の風刺画がありましたが、モノとしての価値はせいぜいそのくらいだと思います。
このようにわたしたちは、普段意識はしないものの、20円の価値しかない紙を10,000円としてありがたく扱っているということになります。不思議ですよね。
このように実物としての価値と通貨としての価値が乖離している(法律によって価値が定められている)ものを「名目貨幣」と言います。
紙幣の歴史は比較的浅く、国家による承認を受けたものは17世紀のストックホルムでの発行が最初と言われています。思ったより新しいんですね!
なお、紙幣は発行している国家の経済力や将来性に左右されることが特徴で、先日のウクライナへの侵攻でロシアの通貨であるルーブルが1日で40%もの価値を失ったことは記憶に新しいと思います。
使う人が「この紙には10,000円の価値があるんだ」と信用しているからこそ通貨は安定して流通するんですね。
反対に、「この通貨に価値はないよね」と思うひとが大勢を占めると、物価が急上昇するハイパーインフレが引き起こされたりします。かつてハイパーインフレが起きた第一次世界大戦後のドイツでは、カフェに行ってコーヒーを注文して飲んで帰る頃には値段が1.5倍!なんてこともあったとか。
そんな社会で生活するのは、想像するだけでも大変そうですね。
【仮想通貨】
それでは、国家が承認していない通貨というものはあるのでしょうか。
それは、近年いい意味でも悪い意味でも話題になっている仮想通貨(暗号資産)が例として挙げられます。
仮想通貨の仕組みをここで詳しく書くと非常に長くなってしまいますので、要点だけを申し上げますと、
複数のPCで取引を記録して改竄を防ぐことで信用性を担保している
ことが特徴としてあげられます。(こうした技術を総称してブロックチェーンと言います。これらの技術は、その堅牢性から、今後行政サービスへの応用が期待されるなど新しい技術としても注目されています。
仮想通貨の主なメリットとしては、送金スピードが極めて速いこと送金手数料が安いがあげられるでしょう。
SWIFTを使った国際送金では1週間程度の時間を要するのに対し、数分~数十秒で送金が完了するため、送金速度では既存の仕組みを凌駕しています。また送金にかかるコストも仮想通貨のほうが圧倒的に安い場合が多いです。(国際送金が数千円かかる場合があるのに対し数円~数十円ほど)
コストが安くしかも速いとなれば、使い勝手バツグンに思いますよね。
ところが、仮想通貨には大きなデメリットがあります。
それは仮想通貨は国家による統制を受けていないため、極めてボラティリティ(通貨の価値の変動)が激しいです。50%価値が暴落するなんてことはザラにありまして。そのたびにネット上では
火葬通貨
などと揶揄されたりしています。恐ろしいネーミングですね。
また、いつなんどき政府から規制の対象となるか分かりません。
ある日突然、価値がゼロ!なんてこともあるかもしれないのです。国家としては、統制できない通貨が広く流通するのはイヤですものね。
そのため、安定した通貨としてはまだまだ発展途上にあると思いますが、法定通貨として認める国も現れ始めるなど、その技術が今後も進歩していくことにわたしは期待しています。
【まとめ】
お金の歴史は人類の創意工夫の歴史でもありました。
古今東西、様々なものがお金として流通し、新たな技術が生み出されてきました。
仮想通貨やキャッシュレス決済など新しい技術が生まれても、人間の生活と「お金」の切っても切れない関係が今後も続いていくと考えています。
FP 牧原 健太郎
【参考URL】
国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page16.htm
三菱UFJ信託銀行
https://magazine.tr.mufg.jp/90130